神様の居ない神社「玉湖神社」

 多摩湖の北側には「玉湖神社」という神社があります。鬱蒼とした森の中に建つ神社という雰囲気で平地にある一般的な神社とは少し雰囲気の異なる神社です。

 そもそも神社とは神様を奉る場所ですが、実はここ「玉湖神社」には神様が居ません。ここは世にも珍しい「神様の居ない神社」なのです。

 1934年に竣工したこの玉湖神社は山の神、水の神そして村山貯水池の工事に携わった殉職者を祀る神社としての役割がありましたが、水道局が神社を祀ることは政教分離に反するとの理由で1968年12月に御霊遷しが行われ、それ以降神様の居ない神社となっています。

 入口には「玉湖神社」と書かれ、立派な鳥居がもあります。奥にはもう一つ鳥居も見えます。ここだけ見ると山の中にある立派な神社という雰囲気です。

 内側の鳥居の前に行くと横には狛犬も残っています。ここも一般的な神社という雰囲気で、奥を見ると階段を上った先に祠らしきものが見えます。幸いこの辺の構造物は全て良い状態で残っていますので、当時を思い出させる様な「山の中の神社」という雰囲気を残しています。

 祠は新しく建て直したのでしょうか、比較r的綺麗な状態です。しかし実はこの中に神様はいません。 御霊遷しが行われると建物自体も解体されてしまうケースも多いですが、ここ「玉湖神社」は建物などはそのまま残っているので珍しい「神様の居ない神社」となりました。

 私の様にこの神社の存在を知っている人が時々訪れるのか参道は比較的綺麗ですが、周辺に落ち葉が積もっていることに神主さんが居ないことを感じさせます。かつては写真奥の広いスペースに参拝殿もありましたが、東日本大震災で被災し、その後取り壊されてしまいました。

 折角一番奥の祠まで来たので、振り返って鳥居の方向を眺めてみます。「祠の前で神様にお尻を向けて・・・」を現役の神社でやると罰が当たりそうですが、既にここには神様はいませんので問題無いと思います。この様に少し背景をぼかすとまるで現役神社の境内です。

 規模としてもそれほど大きなものではありませんが、空き家の神社となっても雰囲気のある場所です。

 そして夕日が境内に差し込むと更に神秘的な雰囲気になります。神が居なくなってもやはり神社が置かれる場所は少し特別な場所なのかもしれません。

 夕日の当たった灯籠。多摩湖を訪れた際、お時間があれば立ち寄ってみてください。神社の様な、神社じゃない様な不思議なスポットです。

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