航空機撮影に必要な基礎知識と滑走路運用

 東京駅で中央線に乗るなら1、2番線、東海道新幹線は必ず品川方から進入してきます。鉄道に限らずバス、タクシー、船舶もほぼ同じ感じだと思います。しかし飛行機の場合はそう単純ではありません。今回は普段よく撮影している調布飛行場を例に滑走路の使い方や撮影の際に必要な情報の取得方法などについて書いていこうと思います。

 飛行機の滑走路の使用方法は風に左右されますので、まずは風に対する一般論を書いて、私がよく写真を撮っている調布飛行場を例に滑走路の運用方法や、無線についても少し語っていきたいと思います。

 まずは風に対する説明から。現在写真の飛行機が対地速度150km/hで飛行していたとします。対地速度とは地面から見ての速度になりますので一般的な自動車や自転車の時速何キロと同じという考えで構いません。

 そこへBの方向で風速10mの風が吹いていたとします。風速10mとは時速に換算すると36km/hです。そうするとBの風から見たら止まっている物でも時速36km/hで向かってくる感じとなりますので、150km/hで向かってくる飛行機は150+36で186km/hで向かってくる感じとなります。

 こうした周辺の空気基準での速度を対気速度と呼び、この様にBの風が風速10mで吹いている場合、飛行機は対気速度186km/hとなります。逆にAの風が風速10mで吹いている場合、150-36で対気速度は114km/hとなります。

 ところで飛行機が離着陸する際の速度はどんな速度が良いでしょうか。地上の滑走路の制約等を考えるとなるべく対地速度は遅い方が安全です。しかし飛行機が空中に安定して浮いている状態を作るには対気速度は速い方が安全です。

 そこで対地速度をなるべく遅く、対気速度をなるべく速くとなると離着陸とも向かい風の方が操縦に都合が良いので飛行機は原則向かい風で離着陸します。発着数の多い羽田などは風向きによって厳格に離着陸の方向が決められていますが、風向きが変わった時ランウェイチェンジと言ってこれまた一斉に決められた使用方向に変更します。

 一方小型空港で風がそれほど強くない場合は風向きに関係なくパイロットが進入方向をリクエストして、原則とは逆方向で運用される場合もあります。

 そうした飛行機ならではの特性を踏まえて滑走路の話をしていきます。上のイラストは調布飛行場の滑走路を描きましたが、滑走路上の数字は方位を表します。磁方位(真方位ではない)360度の数字の下一桁を四捨五入して表記しています。

 35と書かれている場所から離陸すると磁方位350度の方向に飛んでいくという感じです。逆に17は磁方位170度となります。

 これに先程の風の話を加えて考えてみます。北風が吹いてきた時向かい風で滑走路を使用すると離着陸ともにランウェイ35へ着陸、ランウェイ35から離陸が良いということになります。逆に南風では離着陸ともにランウェイ17です。 

 風は自然のもので一日でも方向が変わりますが、おおざっぱに言うと冬場は北風が吹きますからランウェイ35からの離着陸が多くなり、夏場はランウェイ17の運用が増えます。

 風向きと滑走路の使用方法のイメージは掴めたかと思いますが、それでは実際撮影中に次に来る飛行機がどのように滑走路を使用するかを知りたい時はどうすれば良いでしょうか。現在はフライトレーダ24というアプリが便利ですが、調布飛行場では無線の方が使いやすく130.8MHZの調布フライトサービスを受信しています。

 航空無線は基本英語で会話がなされますが、最初は分からなくても聞き流しているだけで良いかと思いますが、そのうちに「ワン、セブン」「ツリー ファイフ」などの言葉が分かってきます。これが滑走路を意味します。「ワン、セブン」が17、「ツリー ファイフ」が35です。

 他には決められた地点で管制に滑走路使用の許可を得るのですが、調布飛行場の場合、「リポート」の後に「ヨミウリ(読売ランド)」「ノボリト」「イノガシラ(井ノ頭公園)」という交信が聞こえて来ましたら間もなく進入してきます。

 また航空無線では聞き違いを防止する為「フォネティックコード」を使用します。9(NINE)をナイナー、ABCをアルファ、ブラボー、チャーリーといった独特の言い回しをします。この辺の説明は割愛しますが、WIKIの「フォネティックコード」を読んでみて頂ければ理解できるかと思います。

 ランウェイ35から離陸する出発機を北側の敷地外から900mm位の超望遠で狙いました。こうした写真もあらかじめ飛行機がどういう動きをするかを理解していないと撮影出来ませんので、滑走路をどの様に使用するかという情報は大変重要です。

 調布飛行場は滑走路一本で就航本数も多く無いので無線機きながら適当で大丈夫ですが、羽田空港などはフライトレーダ24の方が便利ですし、羽田ならではの滑走路の運用、そして来年の運用方法の見直しの件もありますので、それらについてはまた別の機会に書いていこうかと思います。

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