三菱大夕張鉄道 車両保存地(1)

 かつて三菱石炭鉱業大夕張鉄道線廃線時の終着駅だった南大夕張駅跡には当時のホームや同線で活躍した車両たちが残っています。廃線が昭和62年7月ですから既に35年近くが経過していますが、地元有志の皆様の手によって大切に保存されています。

 かつてのホームの横にはレールも残り、雪かき車、客車3両、石炭車2両が保存されています。

 先頭の雪かき車「キ1」は国鉄のキ100型をベースに昭和15年に三菱石炭鉱業鉄道が苗穂工場に発注した車両です。右側には「形式100」と書かれています。

 その下の四角には64-10、60-10、機関区という表記があるのですが、これは「同鉄道の機関区で昭和60年10年に全般検査(車の車検みたいなものです)をしました、次回の検査は昭和64年10月です」という意味になります。

 昭和60年10月の検査終了後に検査員の方は「いつも通り」この表記を書いたと思いますが、昭和62年7月に同線は廃線となってしまいましたのでこの車両が次の検査を受けることはありませんでした。そして御存知の通り昭和は64年1月で終わりましたので、この世に昭和64年10月という暦が訪れることもありませんでした。

 この表記を見るたびに永遠って無いんだな・・・とそんな気持ちになるのです。

 昭和15年、国鉄はまだ鉄道省だった時代です。銘板一つにも歴史の重みを感じます。

 そして後ろに連結されている「スハニ6」は現役当時マニアの間で大変人気のあった車両です。最後はこの夕張の鉄道で活躍していましたが、元々は国鉄の2等(現在のグリーン車)・食堂合造木造3軸ボギー客車「オロシ9216」でした。その後払い下げられ、車体は鋼製化されましたが、下廻りにタネ車の雰囲気が残っています。

 現在日本の鉄道車両は台車に車輪が2軸付いておりこれをボギー車と呼んでいますが、このスハニ6の台車は3軸付いた台車で「3軸ボギー」と呼ばれています。乗り心地を良くする為の知恵で戦前の国鉄優等列車に採用されていた台車です。

 また車体中央部には木造車時代の台枠補強用のトラスバーも残っています。これらの車両の特徴の他、冬には客室内にストーブが設置されるなど珍しい車両でした。そして多くの鉄道ファンが現役時代にこの客車を目当てにこの鉄道に乗りに来ていました。

 オハニのオは重量を表し、ハは普通車、ニは荷物車を表していますのでこの車両は客車と荷物車の合造車です。前少しが荷物車で、後ろ側が客室になっています。

 冬季以外日中は車内の見学も可能ですので、是非中も見学してみてください。しかし先程も書きましたが、何分古い車両ですので大切に取り扱ってあげてください。もう二度と生産されることはない、ここにあるだけ、唯一の貴重な車両たちです。

 昔の客車の扉は自動ではありませんでしたので列車がホームに停車したら手で開けて乗っていました。また冷房装置もありませんので、夏場は走行中でも開けっ放しのこともありました。のどかな時代を走っていた痕跡です。

 デッキの上には白熱灯が。60Wの白熱電球が車内を照らしていました。

 ここに現存する車両、オハニ6は大変貴重な車両ですのでまだまだ車内の様子などをお届けしたいと思います。次編ではこのオハニ6の室内をご紹介したいと思います。

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