多重露光を活用しドール&月をクリアに撮影してみよう

 月が綺麗な夜になると「月を大きく撮影し、月、ドールにピントの合った美しい写真」を撮りたくなりますが、やってみると意外と難しいというか実際には不可能な話です。そこで今回は「多重露光」の機能を利用して「月を大きく撮影し、月、ドールにピントの合った美しい写真」を実現してみたいと思います。

 それでは簡単に多重露光についてご説明します。多重露光とはフィルム時代にフィルムを巻き取らず、同じコマに複数回像を重ね合わせる技法でした。現在デジカメではあらかじめ指定した回数のシャッターを切ると、それらの画像をカメラ内で合成して一つの画像として出力してくれます。

 パソコンで行う合成と何処が違うのかと聞かれそうですが、パソコンによる合成は大きさや位置関係、明るさなどを見て自由に調整しながら行えますが、多重露光は一発勝負になります。逆に言えばパソコンの画像編集ソフトがなくても様々な画像合成可能な機能とも言えます。

 多重露光には撮影する前に大きさ、位置関係、バランス等を計算して撮影しないといけない難しさがある反面、出来上がった時に偶然の奇跡なども期待できる、「撮ってみないと分からない通常の撮影に近い面白さ」もあります。

 今回はK-1markⅡを使用して解説しますが、PENTAXの現行機種ではK-70、KP、K-1、645Zいずれにもこの多重露光の機能が付いています。しかもその機能は

・2枚から最高2,000枚まで多重撮影可能

・加算、平均、比較明と多重方式が3タイプから選べる

 フィルム時代の多重露光に一番近いのは「加算」です。デジタルでこの機能を使いたいという人は「比較明」が露出の計算の上では便利だと思います。また黒っぽいものを撮影していくと画面が暗くなるという「平均」などもデジタル時代ならではの表現が楽しめそうです。

・背面のモニターで多重撮影する度に確認可能

・多重撮影途中にISO感度を変更可能

・背面の十字キーで簡単に多重露光モードに出来る。

 とフィルム時代のそれより大変操作しやすく高性能なので、多重露光に挑戦しやすい雰囲気です。こうしたフィルム時代からの写真本来の楽しみが簡単な操作で再現できるところがペンタックスらしいところでもあります。

 多重露光への設定は指し示している十字キーで設定します。ホワイトバランスやISO感度を変更するのと同じレベルで設定できるので大変敷居が低いです。

 上の列で多重露光を選択したら下に4つの選択肢が登場します。今回は普通に手持ちで撮影する為一番左にある通常の多重露光モードを使用しましたが、三脚などで固定して撮影する場合などは右から二番目のセルフタイマーモードも便利です。

 それでは早速撮影の準備を進めていきたいと思います。

 今回は今回は標準ズーム「HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR icon」を利用してドールを撮影し、その後「HD PENTAX-D FA150-450mmF4.5-5.6ED DC AW icon」+「HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW icon」でめいいっぱい月を大きく撮影してみたいと思います。テレコンはDAなのでAPS-C用ですが、こんな背景が真っ黒なら四隅が少しケラれても全く問題ありません。月の迫力優先でいきます

1・まずは画角70mmでドールを撮影します。写真の装備の他、ストロボを装着しています。カメラはマニュアルモードでISO400、1/250、f8、WBオートに設定、TTLオートでストロボを発光させます。

 こんな写真になりました。

2・次にレンズを付け替えて焦点距離630mm(450mm×1.4)で月を撮影します。今回はストロボの必要ありません。

 ファインダーでフレーミングすると目分量で構図を決めなければなりませんが、LVを使用すると既に撮影した画像が残像として表示されますので構図が作りやすいので活用してみてください。(この画像は完成写真を元に雰囲気で仕上げた液晶モニターのイメージです)

 月を格好良くなる位置に置いてシャッターを切ります。今回はISO400、1/250、f8で撮影しましたが、夜なのに日中屋外で撮影する様な露出です。「月は想像以上に明るい」と覚えておいてください。

3・月を撮影し終えるとカメラ内で合成が行われ、多重露光された画像が保存されます。

(注:途中経過の写真は解説用にあとから同じようなアングルで撮り直したものです)

 DCU5で1:1にトリミングする際1辺を4735pxに切り出してみました、この方がバランスが良いかと思います。またカスタムイメージをモノクロベースでアレンジしてこんな感じに仕上げてみました。

 ちなみにドールを撮影したときに使った70mmで月を撮影するとこんな感じになります。この大きさだとやはり先程の写真のように月に存在感が出せません。また月を撮影した時使った630mm(450mm×1.4)では月までの距離は約38万kmありますから、ドール、月の両方にピントを合わせることは不可能です。

 ついでに失敗写真も一枚。位置を失敗しますとこの様に月を手が突き抜ける写真になってしまいますw。しかしこんな感じの仕上がりも今回のシチュエーションでは失敗ですが、アイデア次第では何か使えそうです。

 また解説ついでにもう一枚パソコン周りを多重露光で撮影してみました。1回目はピントの合った状態で、2回目はピントをぼかして撮影してみましたが「たかがパソコン周り」がとてもファンタジーな雰囲気になりましたw。多重露光はアイデア次第で色々使えそうです。

 月を大きく、しかも月とドール両方にピントの合った写真となると今回の様な多重露光という技法が効果的で便利だと思います。

 今回はドールと月の大きさ比、ピントの問題を解消する為に多重露光を使用してみましたが、アイデア次第で様々な表現が可能になる多重露光、機会があれば是非挑戦してみて欲しい機能です。

■ 今回使用した機材

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PENTAX K-1 Mark II icon(ビックカメラ)
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HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR icon(ビックカメラ)
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HD PENTAX-D FA150-450mmF4.5-5.6ED DC AW icon(ビックカメラ)
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HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW icon(ビックカメラ)
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