ズームレンズを使用する時は「焦点距離」を意識しましょう

 「ズームレンズを使うと写真が上手くなりません、単焦点を使いなさい。」こんなアドバイスを耳にしたことはないでしょうか?このアドバイスは言い方が上からだったり、否定から入る助言なので反感を買うことも多いのですが、言ってることの根拠はあながち間違いではなかったりします。

 もし貴方がドール写真を撮る時に適当な場所からカメラを構えて、焦点距離の数字をあまり意識せずにドールの大きさやフレーミングはズームで調整しているなら、今回の話は役に立つかもしれません。逆に「まず使う焦点距離ありきだろ?」という方はそのままのスタイルで大丈夫です。

 焦点距離によって異なることの1つに遠くのものを大きく写したり、近くのものでも小さくと出来ることが挙げられます。ズームレンズはこれを自由自在にしかも無段階で調整出来るので大変便利です。ズームの機能だけでドールの大きさやフレーミングを調整するというのはこの機能を使ったものです。

 下の二枚がその作例です。同じ場所から18mmと50mmで撮影してみました。

18mm(35mm換算27mm)

50mm(35mm換算75mm)

 撮り比べてみると大きさの違いがはっきりします。多くの人が真っ先に思い浮かべる焦点距離ごとの違いはこの様な違いではないでしょうか。しかしそれ以外にも焦点距離の違いによって、遠近感や背景の写り込む広さが変わってきます。ここを無視して画作りをするとその焦点距離ならではの表現を使いこなすことが難しくなってきます。

 今度はドールがほぼ同じ大きさになる様に18mmと50mmで撮り比べてみました。

18mm(35mm換算27mm)

50mm(35mm換算75mm)

 二枚の写真のドールは全く動いていませんし大きさはほぼ同じですが、見た目の印象は全く異なる写真になりました。

 18mmの写真は背景が多く入り、広々とした自然豊かな空間を察することが出来ます。しかし18mmは地面の落ち葉が望遠効果で引き付けられ18mmとは異なる雰囲気になっています。また18mmの方が遠近感も手伝い脚の方へ行くに従ってすらっとした印象になっています。これが遠近感や背景の写り込む広さが異なる焦点距離ごとの個性です。

 これだけ表現力の異なるレンズの特性を無視して撮影するのは表現手段を1/2、1/3で撮影しているのと同じです。単焦点レンズなら撮影前に「ここは何mmで撮影しよう」とまず焦点距離ありきになりますので、おのずと写り込む範囲は?遠近感は?と自分の頭の中で考えながら撮影をスタートすることになります。

 しかし高倍率ズームを装着していきなりファインダーを覗きながら「ドールが大きい、小さい」とやれば気を配るのはドールの大きさだけになり、使う焦点距離の他の特性が全く考慮に入らなくなります。この行動、考え方こそが「ズームレンズを使うと写真が上手くなりません、単焦点を使いなさい。」の言葉の根拠です。

 ですからズームレンズでも常に「雄大なロケーションだから広角の何mmで雰囲気をいっぱい取り込もう」とか「奥の建物を望遠の何mmで引き付けて、迫力のある写真にしよう」と焦点距離を意識してから撮影すればズームレンズでも全く問題ありません。そして動ける環境なら被写体すなわちドールの大きさは自分が動いて調整します。

 冒頭の言葉を厳密に言い直すと「ズームレンズを使うと写真が上達しない」のではなく「ズームレンズを安易に使用した焦点距離を意識しない撮影方法が写真を上達させない」という感じだと思います。

 今度撮影時にこの記事のことを思い出して頂けたなら、是非焦点距離を意識して撮影してみてください。また新たな喜びが生まれると思います。

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