車両甲板(青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸)

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 鉄道連絡船が民間のフェリーと最も異なる点を挙げるとすれば、この車両甲板で鉄道車両をそのまま運べるという点ではないでしょうか。現在保存船は摩周丸とこの八甲田丸の二隻がありますが、この車両甲板を見学できるのは八甲田丸のみです。

 ここでは貨車航送について色々と書いていきたいと思いますので、是非八甲田丸見学前にブックマークして現地でも参考にして頂ければ幸いです。

 現在はこの様に保存車両が収納されていますが、現在見学通路になっている左右の部分にも線路が敷設され4線収容できました。左(岸壁側)から1番線~4番線と名付けられていました。DD16が居る場所が2番線、キハ82の場所が3番線です。

 収容出来る貨車の量数ですが、ワム車(2軸貨車)で48両、コンテナ車のコキなら17両です。有効長の長い3番線のみ5両、他の3線は4両収容出来ました。

 この場所から船尾側を見るとこの様な雰囲気になっています。陸上側は3線で入口で分岐して船内は4線となっているのが分かります。開口部は水密扉が閉鎖され海水が入ってこない様になっています。

 洞爺丸の海難事故までは青函連絡船の船尾開口部は開放状態だったのですが、海水の浸水が事故の要因の一つとされた為、以後建造された船はこの水密扉が装備されました。

 それでは車両を航送する際の装備について見ていきたいと思います。

 まず車両甲板に押し込まれた貨車はこの連結器に連結して固定します。左にブレーキハンドルもありますが、ブレーキ用のエアも込められます。連結器と空気ブレーキで前後の動きを止めます。

 そして左右の揺れは写真の様な緊締具で固定します。この様な20m級の車両では片側6本の緊締具で固定していましたが、時化の時などは本数を増して確実に固定していました。

 ちなみに、これら貨車航送の責任者は一等航海士となっていました。

 このブルーの車体はスユニ50と呼ばれ荷物、郵便物を運ぶための車両です。国鉄時代の昭和61年に一旦鉄道による郵便輸送が終了しましたが、その時まで活躍した車両です。本州、北海道間の郵便物はこうした郵便車に積まれ、青函連絡船で海峡を渡っていました。

 冬季、酷寒の北海道を走行する際確実にはつでん出来る様発電機は歯車式を採用している500番台です。

 JRになってからは各社ごとに新造車が作られるようになり北海道仕様も特別感はなくなりました。しかし国鉄時代は本州、四国、九州は同じ仕様でも北海道は異なる仕様となっており、北海道の冬の厳しさを車両設備からも窺い知ることが出来ました。

 こちらは函館運転所所属だったキハ82です。現在はここに展示されていますが、現役時代はこの車両が頻繁にここに収まった実績はありません。旅客車両は青森と本州各地、函館と北海道各地を往復、連絡船に乗るのは旅客のみでした。

 この中に納まるのは主に貨物列車、郵便、荷物列車が中心でした。しかし本州で新造された旅客用車両の輸送や配置転換時はこの連絡船で輸送されましたから、全く無い光景でもありません。同様にDD16ディーゼル機関車も中に入った実績は無いと思います。

 むしろ重たい機関車が陸と連絡船を結ぶ可動橋に乗らない様、後述する控車を連結していた位なので「どうやって乗せた?」と感じている位です。比較的軽いDD16だから燃料を抜いてギリギリ乗せられたというところではないでしょうか。

 しかしこのキハ82は正面の渡り板がグレーに塗装されている、ヘッドライトのリムがボディ同色、側面窓にタブレット保護用の網が付いている等、函館所属車の特徴がしっかり残っている車両なので貴重です。

 そしてこちらが桟橋にいた控車「ヒ600」です。先程も書きましたが、陸上と連絡船を結ぶ可動橋に重たい機関車は入線出来ませんでした。そこで現役時代はこの控車を搭載する貨物車と機関車の間に5両挟んで入換作業を行っていました。

 簡単に言うとスペーサー的存在の車両です。この車両もまた函館、青森にそれぞれ車両が配置され、桟橋でヤードと可動橋を往復していただけの車両なので、連絡船の中に納まって航送されることはありません。

 ざっくり車両甲板の設備や、保存車両について語ってきました。是非このページをブックマークして八甲田丸で実物を見てみてください。羊蹄丸が解体されてしまいましたから、鉄道航送を後世に伝える唯一の場所になってしまいました。


青函連絡船物語

海峡の鉄路 青函連絡船 110年の軌跡と記憶

青函連絡船 乗組員たちの証言 (イカロス・ムック)

鉄道連絡船細見

鉄道連絡船のいた20世紀
住所 青森県青森市柳川1丁目112−15 地先
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