PENTAX 645Z 2年使ってみたレビュー

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 PENTAX K-1は素晴らしいカメラですが、PENTAXの真のフラッグシップはやはり645Zではないかと思っています。2014年に発売になり、今年で8年になるモデルですが競合はFUJIFILM位で今なお現役のモデルです。有効約5,140万画素の中判カメラも購入してそろそろ2年が経ちました。

 登場から8年も経過していますので今更開封レビュー的なことをしても「何だかな」という感じですので、まずは2年使っての良いところ悪いところを色々書いていこうと思います。

■ 良い点

 ・ センサーサイズが大きいので画像に奥行き、迫力みたいなものが出る。

 上の写真は645Zのセンサーサイズをイメージして貰う様作ったものです。モニターによって写し出される大きさは異なりますが、比率は同じです。645ZのセンサーはAPS-Cと比較すると約2倍、面積では約4倍の大きさになります。そしてフルサイズと比べても約1.3倍位大きくなります。

 センサーサイズが大きいと「ボケが綺麗なんでしょ?」と聞かれますが、標準レンズのsmc645 75mmでも開放F値は2.8ですから「フルサイズに比べてボケるなぁ~」という印象はあまりありません。しかしセンサーサイズが大きいことにより、写真に奥行きを感じることが出来ます。これが一番中判を使っていて一番良いと思っているところです。

 更にセンサーサイズが大きいことにより明るいところから暗いところへの階調が綺麗に出る、レンズがフィルム時代のものでも抜けの良いクリアな画像を吐き出すなどの良さもあります。

ISO1600、1/250、f8.0、FA645 45-85mm

 こんな奥行きのある写真を撮影した場合、画面全体から「奥行き」を感じることが出来ます。センサーが小さいカメラで撮影しても似た様な写真は撮影出来るのですが、やはり並べてみると先程言った様な画面から出てくる奥行き感というか迫力があります。そして違いが出ると「重たくても中判を持って行って良かった」と思うわけです。

 ・645Dから645Zに進化して、よりK-1のように手軽に使える様になった。

 元々中判というサイズは大きいですから、どちらかというと写真館などでカメラを固定して撮影するスタイルで使用されるジャンルでした。そんな中判カメラに35mm一眼レフの様な機動性を持たせたのが、PENTAX
645や67でした。

 そんなPENTAXが作ったカメラでも645DはまだCCDで高感度が使えませんでしたし、全体的に画像処理も遅く、背面液晶も固定でK-1系を使っていると「使いにくいカメラ」と感じていました。

 しかし645Zになり最高ISO感度は102400、K-70やGRⅢと同じになりました。背面液晶もチルトでローアングルやハイアングルの撮影がしやすくなりましたし、連続撮影も秒3コマと35mmと比べれば遅いですがかなり早くなりストレスが少なくなりました。

 ・フィルム時代のsmcFAレンズでも十分高画質が楽しめる

 「センサーサイズが大きければ画質が良い」は当たり前で、実はここがPENTAXならではの一番の長所かもしれません。フィルム時代のレンズが全て使えますからレンズラインナップが豊富です。

 また中古レンズに目を向けてみると価格も大半が5万円以下とかなり手頃なので、まずは必要な画角を揃えるのには適しています。追々デジタル対応の高性能レンズに入れ替えていけば良いのでは無いでしょうか。

 更にアダプターを使用すれば67用のレンズも使用出来ます。マニュアルオンリーで67用などは1万円以下で投げ売りされていますが、高性能なレンズの中央部しか使いませんので中判ならではの抜けの良い高画質が楽しめます。

■ 悪い点

 やはり重い、大きい、高いの三拍子でしょうか。APS-Cサイズ位のカメラですとミラーレスのコンパクトさは殆ど感じないのですが、他社のミラーレス中判と比較すると流石に「いいな」となります。しかし先程長所でも書いたレンズ資産のことを考えると、現状レンズを揃えるならPENTAXかなという感じです。

 また中判故にK-1やK-3系と比較して動きはもっさりしていますし、手ぶれ補正もありません。しかしこれはセンサーサイズが大きい故に現状どうにもならない問題です。

 しかしそうした欠点をもってしても使って良かったと思える高画質が645の魅力だと思います。

 以下645Zで撮影した写真たちをご紹介していきたいと思います。

ISO6400、1/250、f8.0、FA645 45-85mm

 この様な奥が飛び気味の写真、センサーサイズが小さいと本当に飛んでしまって居ることが多々ありますが、645Z位の大きさになると粘ってくれて色情報を残しています。やはりセンサーが大きい分寛容度も高く、デジタル独特のシビアさが軽減されます。ちなみにISO6400を使ってこの描写レベルです。

ISO200、1/125、f2.8、FA645 75mm

 ピントの合っている髪の毛や顔の描写を見るとクリアで抜けの良い描写ですが、使っているのはフィルム時代のレンズです。この写真はレンズのテストも兼ねて開放で撮影していますが、非常に良好な描写です。画質はレンズの性能とセンサーの性能で決まりますが、センサーサイズが大きく性能に余裕がある為この様に古いレンズでも桁違いの描写をしてくれます。

ISO200、1sec、f8.0、FA645 200mm

 夜に街路樹の桃の花を撮影しました。レンズが古い為フレアは発生していますが、変な白飛びもなく美しい階調を保ってくれています。

ISO200、1/1000、f80、FA645 33-55mm

 夕刻の調布飛行場でバリ逆光の写真です。調布飛行場の展望台は全面ガラス張りなのでガラス一枚を隔てての写真となります。DCU5で少しアンダー補正したのですが、太陽周辺の階調が粘ってくれたのは中判ならではのところだと思います。

ISO1600、1/30、f5.6、FA645 33-55mm

ISO1600、1/60、f8.0、FA645 75mm

 物を撮影する時は少し絞ってあげると、かっちりした仕上がりになります。高級車の塗膜の質感まで伝わってくる様な描写をしてくれました。(ナンバー部分のみ画像処理をしています)

ISO1600、1/30、f4.0、FA645 75mm

 中判といえどもフィールドカメラとして設計されたカメラですから、慣れれば流し撮りもキメられます。645Zの場合手ぶれ補正がありませんので、35mmと比較して少し慣れは必要だと思います。

ISO280、1/250、f8.0、FA645 45-85mm

 形あるものを美しく写す事も出来ますが、こうした明暗、奥行きを表現する時に威力を発揮してくれると思います。

 新品ですと本体+標準ズームでほぼ100万円の買い物になりますが、発売から8年が経ち程度の良い中古もかなりで回り始めています。中古+FA645
45-85の組み合わせですと35万円位から中判を楽しむことも可能になってきていますので、興味のある方なら参入しやすい環境になってきたと思います。

 普通に考えれば「K-1はおろかK-3Ⅲで十分だろう」という考えはあるのですが、やはり大きなセンサーが吐き出す絵は別格ですので、是非興味のある方には手にしてみて欲しいカメラです。


PENTAX 645Zボディ(リコーイメージングストアPayPayモール店)
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