「北海道 化石としての時刻表」レビュー、時刻表を通して過去の鉄道を想像してみる

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 本日はXのフォローワーが2009年2月に出版したという本「北海道 化石としての時刻表」をご紹介したいと思います。私も先日出版15周年ということで知り、現在半分位読んだところです。

 この本は簡単に言うと「古い時刻表を見て、当時の旅を想像してみましょう」という内容なのですが、章ごとにテーマが定められており個人的に「懐かしい」と思える内容だったので過去の鉄道事情を思い起こしていたところです。

 まず表紙からしてそそられます。客車の車体が煙に覆われていますが、これは暖房の蒸気によるものです。蒸気機関車の時代から客車の暖房は蒸気を用いていましたが、近年の電車では電気でヒータを暖めています。写真の様に客車の床下から蒸気が噴き出している絵だけでも既にレトロです。

 そして内容を見ていきますと第一章は東北、北海道1系統のお話です。私が持っている最も古い時刻表は昭和39年9月のものですが、上野を1330に出発するはつかり(1D)に乗車すると常磐線経由で青森着2355です。

 そこから翌010出航の青函連絡船の深夜便(1便)に乗船すると朝の435に函館到着、そのまま函館455発の釧路行きおおぞら(1D)に乗車するとに釧路に1525に到着出来ました。この行程は見て頂くと列車番号、便名が全て1番で統一されています。

 また時刻表の「はつかり」の欄には「函館発特急「おおぞら」に乗り継がれる方には通しの特急券が発売されます。」の注意書きがあります。青函トンネルが開業する遙か前から一本の列車で東京ー北海道を結びたいという国鉄内部の切実な願望がこの列車の接続から垣間見えます。

 この本ではこの1系統について戦前から青函トンネルが開業して北斗星(1レ)に至るまでを時代ごとに検証しています。

 リアルタイムで知っていた時代は懐かしいなと思う反面、私より若い筆者が戦時、戦時中の様子を詳細に紐解いているのには感心すると共に、私の知らなかった時代の「鉄道の立場」というものがおぼろげながら見えてきました。

 第二章は根室本線の一部廃止により復活が叶わなくなった長距離鈍行、滝川発釧路行き2429Dから端を発し、道内の長距離鈍行を時代ごとに紹介しています。

 過去には函館から稚内、根室へ行く24時間近く走り続ける鈍行もあった様です。近年では「からまつ」などが愛称もあり有名ですが、これも既に半世紀近く前のお話です。こうした今では想像も出来ない様な趣味性の高い列車ですが、そうした列車を時代ごとに紹介している本書は、読み続けていくと新しい発見の連続です。

 この様に時刻表を深読みし、さらには広告にまで目を向け当時の旅を推察する内容が、後半半分も続いていくのでしょか、まだまだ楽しみです。

 ここ15年でも鉄道の情勢は大きく変わりました、半世紀、1世紀前となると想像も出来ない世界が広がっていたことは容易に想像が付きます。この本は過日の懐かしい時刻表を通して20年、30年、50年、100年前の鉄道の光景を想像させてくれる1冊です。

 この本に端を発し古い時刻表を買い求めてみて、その数字の羅列から色々想像してみるのも面白いかもしれません。レビューはこれくらいにして、私はまたこの先を読み進めていきたいと思います。


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